健康経営とは?メリット・注意点 徹底解説

2024/06/17
健康経営

最近、企業の経営に大きな影響を与える要素として、「従業員の健康」への関心が高まっています。 従業員の健康リスクが増えれば、労働力の損失が生じやすくなり、結果的に企業が負担するコストが増加するからです。 少子高齢化の進行に伴い、一人ひとりの従業員の価値がこれまで以上に重視される中、従業員の健康管理を経営課題としてとらえて、改善に取り組み、従業員の健康を増進することで生産性の向上や組織の活性させることは、企業にとって重要な先行投資だと言えます。

目次

1.健康経営の定義

2.健康経営への関心が高まる理由と背景

  • 2-1.従業員の高齢化と生産年齢人口の減少に伴う人手不足
  • 2-2.従業員の心身の健康維持が企業の責任だとする風潮
  • 2-3.企業が負担する健康保険料の増加

3.健康経営実施のメリット

  • 3-1.生産性の向上
  • 3-2.休職率・退職率の低減
  • 3-3.企業やブランドのイメージ向上
  • 3-4.医療費の削減

4.健康経営を進める際の留意点

  • 4-1.効果が見えにくい
  • 4-2.従業員が負担に感じる場合がある
  • 4-3.統一された意識を持つことの難しさ

1.健康経営の定義

経済産業省の調査によれば、従業員の健康リスクが高まると、企業が負担する労働損失や医療費といったコストも増加する傾向にあることが明らかになっています。このような状況に対処するため、健康経営は従業員の健康を維持・増進を経営上の重要な課題と位置付け、そのための投資を行う戦略として注目されています。
健康経営を通じて従業員が心身ともに健康でいられる環境を整えることができれば、従業員は自身の仕事により高いモチベーションを持ち、積極的に業務に取り組むようになります。これは組織全体の活性化や従業員のエンゲージメント向上に繋がり、結果として企業の業績向上や株価の上昇、そして企業価値の向上へと結びつくことが期待されます。

2.健康経営への関心が高まる理由と背景

ここでは、なぜ現代において健康経営が重要視されているのか、その背景と理由を詳しく解説します。

2-1.従業員の高齢化と生産年齢人口の減少に伴う人手不足

2008年をピークに日本の総人口は減少傾向にあり、1995年から生産年齢人口も減少していて、企業にとっての労働力確保を難しくしています。少子高齢化の進行により、労働市場における若年層の割合が減少し、高齢者の比率が増加し1995年から2015年の20年の間で、生産年齢人口が約1,000万人も減少しています。
この人手不足は、各従業員の仕事量が過多、そして長時間労働や休日労働を余儀なくされる状況を生み出しています。これが心身の負担となって、従業員の健康を害し、休職や退職率の上昇につながる可能性があります。

2-2.従業員の心身の健康維持が企業の責任だとする風潮

労働環境の悪化や長時間労働が注目される前は、従業員の健康管理は個人の責任とされていました。しかし、2008年に施行された労働契約法で「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と規定し、従業員が安全で健康な環境で働けるよう企業が責任を負うことを明記しています。

2-3.企業が負担する健康保険料の増加

健康保険料は、給与から控除され、被保険者とその家族の医療費を賄う「保険給付費」と、高齢者の医療費を支援する「拠出金」に分かれます。社会の高齢化に伴い、拠出金が増加し、医療機関を頻繁に利用する被保険者も増えているため、保険給付費も増加しています。
隠れた人件費とされるこのコストは企業の負担となっており、これを削減するには従業員の健康にを維持することが不可欠です。


3.健康経営実施のメリット

健康経営に取り組むことで期待できる効果は以下の4つです。

3-1.生産性の向上

従業員が体調不良に陥ると、仕事へのモチベーションや集中力が低下し、仕事の生産性に大きな影響を与えます。従業員が心身ともに充実した状態であれば、集中力やモチベーションが維持でき、業務効率や生産性の向上も期待できます。

3-2.休職率・退職率の低減

健康やメンタルに問題のある従業員が多い職場では、休職率・離職率が高い傾向があります。職場環境を整えることで不規則な労働による体調不良やストレス、健康上の理由による欠勤や休職を減らしていくことができるでしょう。

3-3.企業やブランドのイメージ向上

「健康経営銘柄」や「健康経営優良法人」に選出された場合、プレスリリースなどで広く知らせる機会を作ることができ、社員を第一に考え、勤務環境の改善に取り組んでいる企業として、顧客や求職者など対外的にアピールができます。

3-4.医療費の削減

従業員が健康を維持し、医療機関を訪れる頻度が減ると、企業の医療費負担が軽減されます。加入者の医療受診が減ることで保険給付費も減少し、事業者が負担する保険料の一部も減るため、大きなメリットがあります。



4.健康経営を進める際の留意点

企業に多岐にわたるメリットがある健康経営ですが、導入の際には下記に注意し取り組んでいくことが大切です。

4-1.効果が見えにくい

健康経営は即時に結果が現れるものではなく、従業員の心身の健康を向上させることが徐々に業績等に影響が出る取り組みです。初期段階では、成果が数値化しにくいことを理解し、急がずに長期的な計画に基づいた取り組みを進めることが求められます。

4-2.従業員が負担に感じる場合がある

健康経営の一環で導入される従業員が直接参加するプログラムは、作業負担が増えたと感じる従業員がいるかもしれません。そのため、こうしたプログラムを始める際は、実施する目的と従業員へのメリットをしっかりと説明し、従業員の理解と協力を得ることが重要です。

4-3.統一された意識を持つことの難しさ

健康経営を成功させるには、組織全体での取り組みが不可欠ですが、従業員のヘルスリテラシーには個々に差があります。このギャップを埋めるためには、経営陣やキーパーソンが先導して、全社員の健康に対する意識を統一し向上させる努力が求められます。

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