健康経営優良法人認定制度
健康経営への注目が高まっている背景には、人手不足による過重労働が原因で従業員が肉体的・精神的なダメージを負うケースが増加しており、 また、コロナ禍における働き方の変化により、運動不足やコミュニケーション不足によるメンタルヘルスの不調が顕在化していることが挙げられます。 こうした状況を受け、企業価値の向上を図るために健康経営を積極的に推進する動きが広がっています。その後押しとなっているのが、経済産業省が推進する「健康経営優良法人認定制度」です。 健康経営に積極的に取り組んでいる企業の証である、健康経営優良
目次
1.健康経営優良法人認定制度とは
2.健康経営優良法人認定を受けることのメリット
- 2-1.企業のイメージがアップする
- 2-2.採用において有利なポジションを確保
- 2-3.生産性が上昇する
- 2-4.株価が向上する
3.健康経営優良法人の認定基準
- 3-1.大規模法人部門
- 3-2.中小規模法人部門
4.ホワイト500とブライト500とは
5.健康経営優良法人の認定フロー
- 5-1.大規模法人部門の認定フロー
- 5-2.中小規模法人部門の認定フロー
1.健康経営優良法人認定制度とは
健康経営は、企業が従業員の健康管理や健康増進を経営的な課題として捉え、経営戦略の一環として投資を実行することを指します。
現在、長時間労働やパワーハラスメントなどによる過労死や自殺、また、顕在化していないメンタル不調の増加などが大きな社会問題とないます。企業は従業員が健康に働けるように、先行投資することで企業の生産性を向上させる方法として健康経営を推進しています。
健康経営優良法人認定制度は、健康経営に積極的に取り組んでいる企業を可視化し、その企業価値を向上させ、社会全体の健康経営に対する機運を高めることを目的として、経済産業省が2016年に創設し、2017年からスタートしています。
健康経営優良法人認定制度は、「大規模法人部門」と「中小規模法人部門」の2つの部門に分かれています。積極的に健康経営に取り組み、認定を受けた法人は、健康経営優良法人として公表されます。
2.健康経営優良法人認定を受けることのメリット
企業が健康経営優良法人の認定を受けることには、以下のような具体的なメリットがあります。
2-1.企業のイメージがアップする
健康経営に取り組んでいる企業は、「従業員の健康を大切にするホワイト企業」としてクリーンなイメージを築くことができます。 この取り組みは、顧客からの信頼を得やすくし、ブランド価値を向上させる効果があります。その結果、新規・既存の顧客からの支持を得やすくなり、業績の向上も見込めます。
2-2.採用において有利なポジションを確保
ブランド価値の向上は、顧客だけでなく採用にも影響を与えます。現代では、ワークライフバランスが重視されており、就職や転職を考える際には、企業が「働き方への配慮」を提供しているかが重要視されます。健康経営優良法人の認定は、従業員の健康管理に真剣に取り組んでいることを示す証拠であり、求職者にとっては大きな安心材料となります。健康経営の実践は、求職者に対する強力な魅力となり得ます。
実際に「就活生・転職者に関する調査」では、回答者の60%以上が、「健康経営が就職先の決め手となる」と回答しています。
2-3.生産性が上昇する
健康経営を積極的に実践する企業は、活力に満ちた働きをする従業員が多いと言えます。その結果、従業員はポジティブな気持ちで仕事に取り組み、自発的に貢献することが期待されます。
このような状況は生産性の向上に繋がります。同時に、従業員のエンゲージメントが高まることで、健康問題による休職や退職が減少する効果も期待されます。
2-4.株価が向上する
従業員が活力に満ちた働き方をし、生産性が向上することで企業の業績が向上すると、投資家の興味も高まります。これにより、将来的には株価の上昇が期待されます。
3.健康経営優良法人の認定基準
健康経営優良法人認定制度は、「大規模法人部門」と「中小規模法人部門」に分かれており、それぞれ認定要件が異なります。
3-1.大規模法人部門
大規模法人部門で健康経営優良法人の認定を取得するには、以下の認定要件を満たす必要があります。
各評価項目には、必須項目と選択項目があります。必須項目は一つでも達成できないと不適合となります。選択項目は、該当項目から選択して達成すると、適合となります。
3-2.中小規模法人部門
中小規模法人部門でも大規模法人部門と同様、認定を取得するには、認定要件を満たす必要があります。
※健康経営優良法人の認定要件は、年度ごとに改定されています。本ページの内容は最新情報ではない可能性がありますので、 最新情報は経済産業省の公式ページと健康経営優良法人認定事務局のポータルサイトをご覧ください。
4.ホワイト500とブライト500とは
「ホワイト500」とは、大規模法人部門において、調査結果が特に優秀であった上位500社に与えられる称号です。同様に、中小規模法人部門では、特に優れた500社に「ブライト500」という称号が与えられます。
ホワイト500・ブライト500に認定されるためには、健康経営優良法人として認定され、更に高い評価を受ける必要があります。
5.健康経営優良法人の認定フロー
健康経営優良法人の申請から認定までのプロセスは、部門ごとに異なります。大規模法人部門と中小規模法人部門のそれぞれの認定フローは以下の通りです。
5-1.大規模法人部門の認定フロー
経済産業省が実施する「健康経営度調査(従業員の健康に関する取り組みについての調査)」に回答し、健康経営優良法人認定事務局に申請します。その後、認定審査を経て、日本健康会議で認定が決定されます。
5-2.中小規模法人部門の認定フロー
全国健康保険協会(協会けんぽ)、健康保険組合連合会、国保組合など、加入している保険者が実施する健康宣言事業に参加します。保険者が事業を行っていない場合、各自治体の健康宣言事業でも代替可能です。 保険者がその事業を行っていない場合、各自治体の健康宣言事業に参加することもできます。さらに、保険者や自治体が健康宣言事業を行っていない場合には、自社で独自の健康経営宣言を行うことができます。 取り組み状況を認定基準に基づいて申請書に記載し、健康経営優良法人認定事務局に申請します。申請書は認定審査を経て、最終的には日本健康会議によって認定されます。